年が明けた。最近年越しというイベントがなんだか頻繁に来るような気がしててあまりスペシャルな感じがしないから、今年の年越しはわりとオールウェイズなモード。

晦日、一人で居るばーちゃんの所にみんなで集まってだらだらとした。NHK紅白歌合戦、あまりよくわからない若い歌手がカラオケみたいな感じでありそうな歌ばかり歌った後に、サザンオールスターズが圧巻のパフォーマンスで番組を締めくくっているのを見ていた。

 

2018年、学校に行っているわけでもなけりゃ非規則的に暮らしてるおれの中ではそんな括りはいまいち曖昧だけど、なんとなく振り返ってみる。

 

 

まずはやっぱり旅だ。

春先にベトナム。南北2大都市ハノイホーチミンに行った。

ベトナムは今でも社会主義国。他の東南アジアの国と同じように裕福ではないけど、道で暮らす人や物乞いがいない。人々の身なりを見ても貧富の差がほとんど感じられなかった。

特に物価が安くて、食べ物も美味しかった。

ハノイの飲み屋街を毎日ほつき歩いて、屋台の美味い焼き鳥と1杯20円そこそこの温いビールを飲んだりした。

ジメジメと暑い国で飲む水のようなビールはとにかく最高だ。

ホーチミンではスリにバッグを引ったくられた。盗られてしばらくはだいぶおちこんだような気がするけど、まあ今となってはすっかり笑い話。それにピンチの時開き直ると無敵。荷物と一緒に気持ちも楽になる不思議。

 

夏はミャンマーバンコクに行った。

ミャンマーのローカル具合と信仰心の強さは強烈だった。ミャンマー最大のパゴダ(仏教寺院)シュエダゴンパゴダで陽が落ちる頃、夕日が差し込む仏塔の周りで熱心に祈る人の背中を覚えてる。美しかった。

バガンの遺跡群は小さな村の周りにあってとても長閑な道を借りた原付できままに走り、四方八方にそびえる、大きさも形も違うパゴダを眺めて回った。タイのアユタヤ遺跡、カンボジアのアンコール遺跡群を思い出したけどそのどっちよりも田舎で  何もない事がとにかく良かった。

ミャンマーではいつもよりもバスできびきびと移動した。ご飯はなかなか不味く大変だったがそれがまた  来た甲斐 ってものかもね。

ヤンゴンの都市型ディスコに行ったり、怪しい若者と酒を飲んだりもした。

帰りにはバンコクによって贅沢な気分を味わった。スクンビットのど真ん中のホテルに泊まっていままでで一番リッチな宿だ。部屋に冷蔵庫があるのも久しぶりだし、しっかり暑いシャワーが浴びれる。ミャンマーでの食ストレスを解放すべく、毎日ラーメンやココイチ、牛丼なんかを食べてゴーゴーバーで夜毎冷たいビールを飲んだ。

 

11月には韓国。友達が暮らすソウルに遊びに行った。ソウルは東京とあまり変わらず、物価もおれの旅としてはかなり出費があった。だけど友達の家に泊めてもらって宿代はかからなかったし、意外にも友達がとても素晴らしいホスピタリティに良い気分。

猫達と気ままに過ごし毎日とても美味い韓国料理とビールを飲んだ。

初めての 人に会いに行く旅  だったけどそんなのもとてもいいものだった。

 

 

旅メインの生活で今年は色んな所にたくさん行って帰ってこれてるからとても良かった。

色々な所に行って色々なものを観て感じる。

やっぱり自分の生活圏、東京だけでは思考も縮こまる。海外志向という訳でもなくてむしろ自分の国、地元、日本、東京が離れるとよく見える。みんなが絶対言う、「日本ほど治安が良い所は他にないよね〜」とか「結局日本が一番食べ物が美味い!」とかがわかりやすいやつだろう。

異国に行って自分や日本を今まで見れなかった角度で見れる、知れる。

異国で一人、追い込まれた時に自分て本当によく見える。良い所も悪い所も鮮明だ。

昔から魅力的な人は口を揃えて「とにかく一人で旅に出ろ」と言っていたの今になって意味がわかった気がする。

沢木耕太郎さんじゃないけど「旅の道連れは自分自身」ていう感覚がとてもしっくりくる。

 

旅 ってどこかに行くことだけじゃなく、感覚としては新しいことを始める、とかいつもと違うことをしてみる、日常を変えてみる、みたいな気持ちのお話のような感じがしていて、例えばおれはしばらくは1年間同じ環境ってことはなくて、住む所や仕事や生活が変わっていたりするので飛行機に乗らなくても旅って旅じゃん、とか思ったりもした。

今年早々にホンキートンクバーの仕事をほとんど辞めて春から夏、蝉時雨の千駄ヶ谷の喫茶店で働いた。昼の生活はとても久しぶりで、夕方には仕事がはけて街に遊びにいく、なんて慣れないこともした。

そして秋からは街で自由なデリバリードライバーをやってる。毎日チャリで街に行ってマイペースに仕事を取ってはやりつつ一服しに喫茶店に入る、というおれの休みの日の動きに限りなく近い仕事。

それに週1回はホンキートンクバーでのバーテンダーもやっている。

それぞれ全くシーンが違う。時間も景色もやることも違う。これが旅なんだろう。

だから今年は旅の隙間に旅の資金のために旅をした、みたいな感覚になる。

物なんか要らないからお金を稼いでとにかく色んなものを見たり、色んなことをして、色んな気持ちになることだけ考えているようなエクスペリエンス思考のおれにはとても良い環境だったと思う。

気持ち のために気持ちにのっとって暮らしてる。ポジティブでもネガティブでも針を揺さぶってくれるなにかが欲しいんだろう。

 

そうそう、クイーンの映画、ボヘミアンラプソディをソウルの映画館で観た。

最高だった。今年のヒラカワレコード大賞はクイーンだ。

今年もたくさん音楽を聴いたけど、やっぱり揺さぶってくるやつだ。ゾクッとするやつだ。

フレディがライブエイドでピアノの前に座ってボヘミアンラプソディを歌い始めるシーンは最高にゾクッとするし、エルモアジェイムスのスライドギターや、レイチャールズが歌うジョージアオンマイマインド、ボブディランの言う「どんな気分?」にゾクッとする。

人のひりひりするような感情とか言葉とかそういうことにゾクッとさせられるのは最高に気持ちいいし麻薬のような感じだ。

 

今年は2019年。平成が終わるとか騒いでるけど実感が湧かないというかやっぱりどこか他人事。平成が終わることよりも東京がメキメキとつまらなくなっていってる事の方が問題だ。

このままいく所までいくようならおれも考えなきゃいけないね。

とにかくくだらないものに邪魔されないように柔軟に貪欲に楽しくやろう。