旅ももう10日くらい。
やはり立地が大事だと思って中心地、バックパッカーストリート、ブイビエン通りから路上を一本入ったような安宿にいる。
ブイビエン通りは飲み屋やレストラン、ツアー会社にマッサージとまあバックパッカーが集まるようなストリートで、
昼間は静かだけど夜になると爆音で音楽がかかって白人の若者が酔っ払ってはしゃぐ。
バンコクのカオサン通りとまではいかないけど、かなり盛り上がってる。
通りのど真ん中は特にクラブとかイケイケな飲み屋しかなくてもう少し落ちついたところで飲みたいおれは、
通りの端に近い、すこし落ちついたカフェバーなんかで飲んでる。
今日も夕方暑さに負けて飲み屋に入った。
まだ明るい時間、客はまばらだった。
だいたい煙草を吸うし気分がいいので外の席に座ってビールを飲む。
今日もいつものように席に座り隣の席にリュックを置いた。
注文したビールを1口、2口と飲んでたその瞬間、一瞬の衝撃とともにおれのリュックが消えた。
横を狭い路地に面した端の席だったんだけど、いつもはバイクなんか通らないその路地を、一台のバイクが勢いよく通り過ぎる瞬間におれのバッグを引ったくっていった。
一瞬頭が真っ白になって、そのことを理解するころにはもうバイクはいない。
やられた。旅はいつも東南アジア。
一番気をつけていることがスリだったんだけど、気を抜いたというよりそれがあまりリアルではなかった。
こうゆうことか、という感じ。
まあまず一つ間違いないことは、だせえ。
気をつけてはいたので携帯、財布なんかは全部ポケットに入れて、どっちかというとこっちの方をいつも警戒してた。
盗られたのはなんだ、恐る恐る思い出す。
最高に不幸中の幸いだったのはパスポートが入ってなかったこと。
今いる宿はたまたまチェックアウトまで預けておくシステムだった。
根拠もなくスられるよりリュックは背負ってるから、開けられて盗られることに注意してたのでパスポートはリュックの奥に入れておくことがよくあった。
これはとてもラッキー。
それに宿の鍵も今日はたまたま部屋の掃除をお願いしたので預けてきた。
一番の打撃はカメラだ。別に高いわけでもなく友達にもらったオンボロだけど、今日までの旅の写真がいくらか入ってた。
それに、携帯のポータブル充電器、これも値段じゃないけど旅には心強い。
それに日本で使ってたSIMカードだ。
さっきAUに電話したらSIMカードはわりと簡単に再発行してくれるみたい。
あとは今日ベンタイン市場で買ったTシャツと日本から持ってきた煙草くらい。
まあ被害は少なかった方だろう。
まあショックはそれなりにあったしヘコんだ。
腹が立ったり恐怖感だったりいろいろだ。
まあでもお金、携帯、パスポートが無事なら余裕でなんとかなる。
それとこれからもいろんなところに行くであろうおれとしてはいい勉強だし、
東南アジアを攻めるなら1回くらい経験しておいた方がいい類いのエピソードでしょ。
タイでオカマに騙されかけたのもそうだけど。
という見方をすれば現金もパスポートも失わないで 箔 を手に入れた、みたいな感じだ。
もちろん反省もしてるけど。
荷物が入るからサブバッグをリュックにしたのも、わりと不安があったし、
やっぱりショルダーの方がいつも身につけていられるし前で持ってられるから安心ではあった。
明日あたりベンタイン市場とかで斜めがけの良さそうなバッグを探しに行こう。
パスポートなんかは首から下げたり腰に巻いたりする貴重品入れがあるだろうし、
本当はズボンのポケットだってファスナーがついてた方がいいだろう。
想像がつくことからセキュリティ固めていこう。
リアルに体験できて良かったということかな。
日本ではよほどほったらかしにすれば盗られるけど、目の前で持っていかれた。これがベトナムだ。そんな国の方が多いだろう。
とにかく多少の被害はあるけど、体が無事で旅を続けれる状態でよかったし、
こういう状況になってみると、とてもシンプルで身軽な気持ちになってくる。
意外と必要なものってなくて、物にとらわれているのもあまり気持ちよくないということがわかってくる。
カメラで撮った素敵な思い出写真よりもこの体。経験があればいいということ。
物理的には海外にいる上で、パスポート、お金、携帯、あと充電器とか携帯周りのもの、
があれば余裕で旅ができるんだろう。
とにかくださいけど、これに屈せず遊ぼう。
こんなことに怯えてたら東南アジアは楽しめない。警戒はしても怯えちゃいけないって事だろう。今までのおれは逆だったんだろう。
しっかり警戒、対策をして、しっかり遊ぼう。
日本帰るまであと5日くらい。時間は少ない。
とりあえず明日は新しい宿に移動する。
これが最後の宿になる予定。
どこかで蚊に刺された、かゆい。
虫除けスプレーもスられちゃったからなあ。