たとえば、この街を歩く人がタンクトップ一枚だったりダウンにマフラーを巻いてたりする。
それだけで自由な気分になる。
一杯の真っ黒いエスプレッソを飲み干して、
苦い煙草を吸い終えるまでにどのくらいのことがイマジンできる?
ハッピーエンドだろうがそうじゃなかろうが、別にどっちだっていいよ。
そんなことより、いつだって正直に生きるってなんて美しいことだろう。
これが地中海か。
潮の匂いのしない海だった。
町はずれの小さなビーチ。
浅瀬では小さな子どもが素っ裸で遊んでいる。あまりにも強い風の中で。
海沿いの通りをしばらく歩いて、
おれを追い越そうとしていた真っ赤なバスに乗った。
バスの中で、おれの知らない綺麗な花の鉢植えを抱えて立っていた彼女は、とても純粋な目をしてた。