ふと思い出したこと。
インドの首都デリーより北の町に行った時のこと。
もう2年くらい前になるかな、
おれは1ヶ月半の旅に出た。
インドにいく という事だけ決めて
往復の航空券だけ取って旅をした
悠久の風の吹くとてつもなく広い西インド、ラジャスターンのエリアを転々として、
デリーに帰ってきて毎日気ままに過ごしてたおれは
すこしインドの熱気と喧騒に疲れていたのもあってかデリーより北にいこうとおもった
ハリドワールという町
ヒンドゥー教の聖地で、聖なる河ガンガーの流れる田舎の町。
まだ暗い明け方のデリー、
パハールガンジという有名な安宿街を
バックパックを背負ってニューデリー駅を目指した。
ニューデリーからハリドワール行きの列車はエアコンも、ブレックファーストもついていて快適だった。
ニューデリーから4時間とすこし、ハリドワールについた。
すこしふらついて宿を決めて、煙草を1本吸い終えると、ガンガーが見たいとおもった。
1ヶ月近く旅をしていたけどおれはまだガンガーを見てなかった。
モーティーバザールを歩いて、ガンガーの大きな沐浴場、ハリ・キ・パイリー へ。
おれのおもっていたガンガーとは違って青かった。
おれはガンジス河といえばバラナシのあと淀みきった河を想像していた。
想像よりも澄んでいて冷たい感じがした
流れもはやい。バラナシより遥か上流ってやつだ。
綺麗なサリーを着たおばさん、
若い青年、小さな子供
みんなこの聖なる河にサフラン色の綺麗な花びらを浮かべ、河に入り身を清めて
神に祈りを捧げていた
河の向こう側に大きなシヴァのモニュメントが建っていた。
その目の前の光景に圧倒されていると
ひとりの若い女性が近づいてきて、
おれのおでこの真ん中に紅い絵の具のようなものを塗ってくれた。
インドのイメージでもあるあれだ。
チェラック とかいうやつだ。
ヒンドゥー教の寺院や聖地にいったときこれを塗られることが何回かあったから知ってた。
おでこチェラックを塗られたおれを
女性はにこにこと見つめていた。
1ヶ月近くインドにいたおれは自然と気づいて
20ルピー札をチップで渡した。
女性はそのお札を受け取ると
あなたとあなたの家族に幸せがありますように
と言った。