2020年、今年は丸々、世界中で大流行している新型ウイルスのせいで東京での引きこもり生活を強いられてしまっている。

 

今年の1月にネパールを旅したけど、それからもうほぼ1年。旅をメインにする生活を初めてから東京での生活はずっと"次の旅への滑走路"みたいな感じだったので、旅を前提としないでズルズルと東京に居続ける生活にはうんざりしてくるし、正直少しの焦りみたいなものもある。

 

東京の様式も変わり、おれの心の故郷、東南アジアの風景もおれが訪れることができない間に変わってしまっているみたいだ。

おれの東南アジアのベース、タイのバンコクは特に観光産業で栄えている街なので、繁華街は閑散としていて、空きテナントがどんどん増えていっているというような現地からのニュースが飛び込んでくる。

バンコクで暮らしていた友達も、新型ウイルスの影響で仕事を失くして、イサーンだったかの実家に帰り、タイの正月の準備をするお金もなく、病気の母親と親戚の子供たちの面倒を見る毎日を送っているという連絡がきた。

彼女はおれの中での都会のタイ人女性の象徴のような性格でマッサージの仕事が終わると、毎日のようにくだらないことでゲラゲラ笑いながら朝まで飲み歩いているような底抜けにパワフルな人だったんだけど、最近ではメッセージや電話では愚痴ばかりになって「死にたいわ」が口癖になってしまっている。

 

おれなんかは、収入にもほとんど影響はないし、ただ旅に出られない、とぐちぐち言っているだけの能天気な奴だ。

 

一緒に働いているベトナム人の友達も、

今年大学を出る年で、就職活動をするタイミングが新型ウイルスと重なって、なかなか就職も決まらず、ビザを更新して日本に居れるのかという不安。

外出自粛期間の収入減でつくった借金を返すために、学校に通いながら5つもアルバイトを掛け持ちするような生活にかなり参っている。

この前、バイト終わりに飲みに誘った。

彼女は普段は飲まないお酒とお腹いっぱいの料理を平らげて、少しは気晴らしになったみたい。

別れ際、「まあ、できるだけ気楽に、でも今はちょっとだけいつもより頑張るんだよ。」と声をかけると、彼女は「ありがとう。出会えてよかったよ!」と言い、笑顔で帰っていった。

今時日本ではあまり聞かないようなストレートな言葉。

そんな素直でかわいい奴なのだ。

外国で健気に頑張っている。

いつか振り返ったとき、日本での生活が面白おかしかったと思ってほしい。シンプルにそう思う。

自分のことで精一杯なんだけど、いくらか歳を取ったのかなんなのか、辛い思いをしている人を見るととても心が痛いし、なんとか楽しくやっていってほしいと最近いつも思う。

 

たとえば今、香港でとても大きな敵と戦っている人や、世界中で人種やカーストによって屈辱を受け続ける人たちにはとても心を痛めるんだけど、

ただ、どこか遠くで辛い思いをしている人の力になることは、今のおれのキャパではあまり想像ができない。

どうしてもおれはおれと関わる人たちのほうが身近だし、その人たちの不安や悩みみたいな生活の中でのマイナスを取り除いてあげるようなことはできる限りしたい。

 

特に今の状況だけど、世の中がみんなダウナーな感じだし、落ち込んでる友達たちに直接してあげることは結構少ない。

ただ優しくっていうのもクサいし、なんだろう。

要は、ブルーハーツみたいな。

"おまえのブルーハーツ" みたいなもので居たい。

おれの性格やスタンス的に、「ガンバレ!!」というよりは、「できるだけ楽しくやろうね」というニュアンス。きみもおれも。